〜憑神バスケ事変〜
作:ヤドカリ様
| 私は背が小さい、体が小さい、手も小さい。 先輩は背が高い、体が大きい、手も大きい。 正直私には無理だと思っていたけど、でも、かっこいい先輩に憧れて、優しい先輩に憧れて、私はバスケ部にはいったのでした。 いっぱいトモダチはできたけど、まだまだバスケは難しいです。 頑張ってるけど、体格的に不利な私を先輩はよく褒めてくれます。 大きな手を私の頭において、ガシガシって頭を撫でてくれます。 私は、先輩が大好き。 私は、バスケが大好き。 いつか、先輩みたいになりたいなあ。 かっこ良くドリブルして、そしてかっこ良くダンクをきめる。 「なんて、私の身長じゃ無理だよね」 そんな妄想をしながら、一年生の私は部活が始まる前にボールの支度。 バインバイン弾むボールを沢山取り出して、空気の抜けたボールには空気を入れる。 それが私の仕事なのです。 そしてボールは汚れを落とすように磨いて…… だって、ボールは友達って先輩も言ってましたから。 「デモ、ソレダケデイイノ?」 「……え?」 唐突に聞こえた声に振り向いても、誰もいません。 でもこれは、聞こえたと言うよりは頭の中で響いているような。 「フフフ、アナタハ私ヲよく磨イテクレルカラ好キナノ」 ふと視線を落とせば、私が磨いているボールが淡く光を放っていました。 暖かく、柔らかい光、そしてボールの表面に勾玉が浮かび上がって…… 驚くまもなく、ボールは溶けて私の体に混ざりこみました。 「あっ……」 体が熱くなって、そして頭がぼうっとしてきます。 周囲に転がっていたボールが私に引き寄せられるように集まってきてどろりと溶けて私と混ざり合っていきます。 そしてそれが、キモチヨクテ。 私のカラダは、ボールがアツマッテ。 手が、大キク。 カワって、イく…… 私じゃなイケド、私のカラダデ。 私はボールで、ボールガトモダチで? トモダチはワタシデ、私は…… あレ、私、ナンだっけ? 「ソウダ、部活のジュンビ……先輩ニ……」 そう、私はバスケをシないとイケないカラ。 まだ火照ったカラダで、倉庫のソトニデます。 体育館ニハ、もう部活生達が集まっていました。 でもでも、誰もみんなジュンビがデキテイないのです。 「ダメダヨ、みんなトモダチなんだから」 大きくなった手で、みんなをぎゅぎゅっと握ります。 まあるくまあるく、丸くて大きなボールになるように。 二人組でストレッチしている娘は二人で一つの大きなボール。 グループでわいわいしている娘達はみんなでまとめて重いボール。 コロコロコロコロ転がる、可愛い私の友達たちで体育館はいっぱいになりました。 「な、なにこれ……」 「ア、センパイ♪」 私のダイスキナせんぱい。 「何よあなた……来ないで……っ」 今日はランニングカラですか? フフフ、でもでも、ストレッチがまだですよ先輩。 足をつったら大変です。 だから私は大きな手で先輩を優しく捕まえて頭を優しくガシガシって撫でます。 ガシガシぎゅっぎゅと撫でて先輩を優しくストレッチ。 引き締まった先輩にふさわしいように、最後はぎゅぎゅっと力を込めて硬くて小さな先輩にしちゃいました。 「う、そ……こんなの……夢、よ」 先輩は悲しそうな顔をシます、そんな顔を見ると私も悲しくなります。 だから私は、先輩とバスケをすることにしました。 大好きなバスケで、先輩はきっと機嫌が良くなります。 地面に叩きつけると、固く作った先輩は大きく弾みました。 重さも大きさもぴったり、バスケ大好きな先輩はきっと大喜びです。 その状態でバインバインとなんども先輩をはねさせてドリブルします。 手が大きいから、いつもよりずっと調子がいいです。 「あひっ、や、やめへっ。わらひ、キモチヨクテ、おかしくなるっ」 うん、やっぱり喜んでくれた。 嬉しくなった私はドリブルのままゴールしたまでいって背を伸ばしてダンクシュート。 「んはぁぁぁぁぁ?」 先輩はとっても喜んでくれました。 私も始めてのダンクに大喜び。 何回も何回も繰り返してダンクしちゃいます。 そんなこんなで遊んでいるうちに、もう帰る時間です。 先輩ももうすっごい喜んで、ずっと嬉しそうな声をあげています。 体育館に散らばったボール、トモダチを私のカラダにしっかりと片付けて今日はもうおしまい。 明日は、何をしようかな。 ね、先輩? |