ミカゲィト〜呪いの金の針〜
薄暗い石造りの回廊を、少女が辺りを見回しながら歩く。
「しっかし、相変わらず辛気臭いとこやのう…」
カツンカツンと歩く音だけか響きわたる…………。
「うーさっさと調査して帰ろ…」
そう独り言を呟いた巫女風の出で立ちをした少女の名は
『鈴華美影(すずかみかげ)』鏡都に住まう高校生兼巫女兼退魔師である
。
それはさておき、美影は以前の依頼の最中に巧妙に隠された遺跡を見つけその調査をまかされることになった。
そして今、地下二階層目に至る
「んぁ?」
ふと少し開けた場所におかれている宝箱に気づいた美影は、そちらにそろそろと近づいていく。
美影は取り敢えず箱を注意深く調べてみた。
「特におかしなところはあらへんよなぁ」
そういうと、宝箱の蓋に手をかける
「ぉ、鍵はかかっとらん?」
ガチャリと宝箱をあける………。 と同時にプッと鍵穴から針が打ち出され美影の手のひらにささる!!
「っ!?」
慌てて傷を調べる。
「痛ぁ……;っと、手当てせな…………」
美影は手のひらに刺さった小さな針を抜き傷口を手早く手当てした。
「ビックリしたなぁ………もぅ………」
針に毒は塗られてないことを確認すると美影は宝箱の中身を取り出す。
「は〜ぁ……ただの初級ポーションかいな…………がっくし」
中身が面白味もなにもない物だった事に肩を落とす美影
「さて、行くかな〜」
そう呟くと美影は立ち上がり針を床に投げ捨て探索を続ける事にした……。
床に転がる針が微かに怪しく光ったが美影はきづくよしもなかった………。
カツンカツンと石畳を進む美影は、しばらくするとふと妙な気だるさを感じ立ち止まる。
「うん?なんか体が重いなぁ………ちょっち休んでこか…」
と壁を背に床に座り込む。
「ん……ぁ……はぅついつい寝てもうた」
疲れからか美影は壁に持たれながら少しだけ寝てしまっていたようだ。
そして立ち上がろうとして………。
「あ、あれ?足が動かん……痺れたんかな?」
と足を見た
「ひっ!……な、なんやのこれぇっ!?」
足を見た美影は思わず叫んでしまった!なぜならば足がふくらはぎ辺りまで金に染まっているからだ。
しかも金色の侵食はじわじわとその範囲を拡げていっている
「なんで……なんでなん」
慌てる美影を尻目に金の侵食はもう太股まですすんできた、そしてチリチリとした痛みが金に包まれた足から感じる。
「いややぁ!!いややぁぁぁぁ」
必死に、痛みから逃れようと腕を使って這いまわる………。
そうこうしてる内に、腕まで金の塊と化す。
「いややぁ…………金になんてなりたない…………」
もはや首から下ほぼ全身が金になり息も絶え絶えに美影は泣きじゃくる……。
髪がしゃらしゃらと音を立て金の糸にかわる。
「い………ゃ……………ゃ…………たす……けて…………おかあ……は……………」
とうとう喉元まで金と化した美影ははらはらと涙を流すことしかできなかった…………。
「………………………。」
美影の その控えめな胸も瑞々しい唇も勝ち気そうな目もさらさらだった自慢の黒髪も何もかもがヌラヌラと濡れたように輝く金に覆い尽くされてしまった。
先ほどまで泣き叫んでいた少女は絶望の表情を彫り込んだ金の像へと化してしまったのであった・・・。
このまま放置されるのか、ダンジョンに住まう主の部屋に飾られるのか、魔物たちに鋳潰されるのかは誰にもわからない………。
ざんねん 美影の 冒険は終わってしまった。